
Vol.9少年時代の“発明ノート”が私の原点

株式会社音力発電 代表取締役
速水浩平さん
小学生時代に思いついた発明の夢をずっと温め続け、ついに実現させた人がいる。「振動力発電」に取り組む速水浩平さんだ。人が動いて起こる振動によって発電することで、節電に貢献し、環境をいたわり、エコな未来を目指す。常に情熱を絶やさず、決してあきらめずに夢を追い続けてきた姿と、ものづくりへの思いをご紹介しよう。
振動力発電は人と環境に優しい“地産地消”のエネルギー
暮らしの至る所にあふれている“振動”。そのエネルギーを有効活用する「振動力発電」の研究開発に取り組んでいるのが速水浩平さんである。歩行や走行などによる振動を使って発電するユニット「発電床」や、ボタンなどを押すときの振動や圧力を使って発電する小型ユニット「振力電池」などを開発してきた。振動力発電のメリットを速水さんはこう解説する。
「従来の大規模発電は環境負荷が大きい上、遠い場所で発電すると数千万~数億円もの費用がかかり、送電ロスもあります。一方、振動力発電は人が動くことによって生まれた電気をその場で使う、エコな“地産地消”のエネルギー。振動がある所で最小限の発電をするので無駄がありません。今まで私たちは大量に電気を消費していましたが、東日本大震災以来、節電が重視されていますよね。振動力発電はそれに貢献できると思っています」
速水さんによれば振動力発電が力を発揮するのは、例えば人通りの少ない暗い夜道。街灯を常につけておくのはもったいないので、人が通るときだけ発電して安全灯を光らせ、足元を照らすといった使い方だ。速水さんは地方の道や、さらには発展途上国での活用を想定するが、その技術はすでに具体的に適用もされている。
例えば、コクヨファニチャー(株)のオフィスフロアに導入された発電床。LED電球を発光させて形作る矢印が進行方向を指し示す。また(株)音力発電と同じ藤沢市にある新江ノ島水族館では、人が踏むたびにLED電球が発光する参加型のイルミネーションが実現している。さらに、大手インテリアメーカーの東リ(株)と共同開発したカーペットタイプの発電床も来年度より本格的に発売を開始する。
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| 発電床(写真提供:コクヨファニチャー株式会社) |
「このカーペットタイプは発電基盤モジュールを床財に組み合わせて収めたものです。発電量は多くありませんが、オフィスの廊下で誘導灯として使えば節電のために電気を消しておけます。これは受託研究開発したものですが、量産化の態勢を整えて本格的に発売開始します。私たちのものづくりには提案型営業が欠かせません。新しい技術をどのように応用・活用するかを提案し、商品を基礎から作り上げ、量産する。そのすべてが大切なのです」