社長コラム

Vol.7 『ブランド』私考! (2007.01)

当社が企業広告の一環として、初の演劇スポンサード(冠提供)を実施した人気者・三谷幸喜脚本、佐藤B作演出・主演の『戸惑いの日曜日』東京公演を見る機会を得た。平日昼下がりという時間帯(小生ご招待のため止むなく?)にもかかわらず、900席弱の客席は補助席まで用意されて超満員。客層も老若男女問わず、テンポの良い舞台展開と繰り返される笑いの渦の中で、本当に久しぶりに楽しい時間を過ごした。

ストーリーは、借金まみれで高級マンションを手放さざるを得なかった父親が、1日、娘の婚約者とその両親と真っ当な人間として会わんがために、かつての自室に電気工事人を装い侵入し、部屋の主に成りすまそうとしたことから起こるドタバタの人情喜劇。テーマは家族愛・親子愛であり、"人生において大切なものは「住まい」というような体裁ではなく「人の心」"という台詞を言わせる、ある種アンチスポンサーな芝居の協賛を思い立った当社関係者のセンスと洒落心の素晴らしさと、何かしら自負心めいたものを感じとって、わが意を得たりと一人ほくそ笑みながら劇場を後にした。

私たちが手掛けたいのはまさに、そうした心豊かな家族愛・親子愛が安心・安全な暮らしの中で自然に育まれるような生活の場をお客さまにお届けすること。それが"家づくり"であれ、"街づくり"であれ、そこに暮らす人本位の信頼のおける品質の良い商品・サービスの提供にある。当社のブランド力も、そうしたことへの私たち一人ひとりの本気で本物を目指した取り組みの積み重ねから、築き上げられ確固たるものになっていくのではないだろうか。

イラスト ところで、わが業界を震撼させた耐震偽装問題が発覚して間もなく1年が経とうとしている。この間、国会においては法令・制度面での対応が進みつつあり、第1弾として建築基準法を中心とした法改正がなされ、次に建築士法の見直しをはじめ再発防止・建築物の安全・安心確保のための施策が審議される見通しである。デベロッパーが直接影響を受けるものとしては"瑕疵担保責任履行のための資力確保の義務付け"について議論がなされている。いずれの点でも、事業主・業界として努力することは論を俟たないが、内容的には疑問点も多く、また所詮事後的な救済策でしかないと思える。9月に入って始まった耐震偽装の主役ともいえるA元一級建築士や、K建設会社元社長の初公判での検察側冒頭陳述によれば、Aは「金を稼ぐために改ざんを続け、人命のことは考えないようにした。大地震が起きても構わないと思った」、Kは「耐震強度が不足しているのが国交省の調査でばれないよう祈願書を信仰する神社にFAXで送って祈っていた」と供述していたということだ。 このような確信犯的人物にかかれば、いかに仕組み・制度でガードしようとしても対応しきれるものではない。

今回の問題を通して、従来からの建築生産システムのあり方の中で、事業主を含め設計者・施工者各々の役割・責任を再度明確にした上で、お客さまとの関係においては、何より事業主=売主の商品品質に対する絶対的な信頼感・安心感が不可欠であること、事業収支の追求にモノづくりの志が挫折してはならないこと、などが再認識された意味は大きい。現在進みつつある法改正等の動向を注視しつつ、当社の組織・仕事の仕方をより良いものにするべく不断の努力を惜しまないでいたい。 そして、それら取り組みの成果が、当社のブランドイメージの基礎となる個性・評価="新日鉄都市開発らしさ"として、お客さま・社会から信認を受けられるよう、一件一件の施工現場・販売現場で"お客さまの満足度"という視点にこだわりを持った行動に、私たち全員が努力をしていきたい。

新日鉄のDNA-それは、"社会と共生し、社会から信頼されるグループであるために、たゆまなく努力し、挑戦し続けること"。新日鉄グループの6事業セグメントの中で、唯一BtoC事業にも携わる私たちにこそ最もふさわしいスローガンに、誇りと自覚を持って頑張っていきたいものだ。

社長・社員コラム

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