社長コラム

Vol.2 『プロ野球“交流戦”』雑感 (2005.08)  

皆さん、ご存知でしょうか。当社北海道支店の「鈴木誠治」君が新日鉄室蘭野球部を前身とする倶楽部チーム「室蘭シャークス」の監督を今シーズンより務めていることを。先般、札幌・室蘭の物件視察に出張したとき、ちょうど同チームが都市対抗野球大会の地区予選を勝ち抜き、決勝リーグ戦に向け練習に励んでいることを耳にした。ちょっと寄り道をして球場に激励に行ったのですが、そのとき彼から聞いた話に驚いた。 1つ、予選に入っても全体練習は選手全員が仕事を完全に終える夕方6時ごろから9時過ぎまでということ。2つ、主力選手の中に交代勤務者がいるが大会期間中もシフト替えは試合日以外はなし。そして3つ、年間活動予算は300万円、あとは後援会企業・個人からの会費での補てんと自己負担など。かつての全盛期の会社支援の状況からは想像もできない厳しい練習環境においても、若い選手たちは溌剌とボールを追いかけていた。後日残念ながら今年は東京ドームには届かなかったが、その日は選手一人ひとりの野球にかける意欲とたくましさに感銘を受けてグラウンドを後にした。

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さて人気低落中の日本のプロ野球。昨年秋の1リーグ制への動きに選手会がストライキという思いを込めた果敢な手段で対抗し、その経緯の中で、40年近くも前から議論が出たり引っ込んだりしていたセ・パ両リーグの交流試合がやっと今シーズンから採用された。プロ野球ファンの多くが希望していることがわかっていても、巨人頼みのセ・リーグ側の拒絶にあって、気が遠くなるほどの年月を経て実現した交流戦。“楽天人気”も相まって確かに新鮮で目新しく(最後は少し飽きてしまったが…)、観客動員に少しは愁眉を開いた感はある。 それにしても、なぜこれほどまでに時間がかかってしまったのか? こうして「たかが選手…」(某球団オーナーの暴言です)たちの造反という予想だにしなかった外圧がかからないと変われない、まさに今の日本という日常性に埋没しきった国の有り様を、経営者(?)然としたオールド・オーナーが牛耳るプロ野球界に見せつけられた思いがする。 「『前例がない』と言う人は100年経っても『前例がない』と言う。『時期尚早』と言う人は200年経っても『時期尚早』と言う」。前に向かって自ら進むことのできない人は、他力本願でキレイ事は言うけれど変革への実行が伴わない。 ところで交流戦が進む中で面白い現象が起こったという。ダラダラ傾向にあった試合時間が短縮されたということだ。なぜなのか? 同一リーグの下ではデータ野球に名を借りた管理過剰なベンチワークに引きずられていた選手たちが、交流戦ではデータ不足で口出しできない監督・コーチから一人立ちして、自分の五感でプレーをするシンプルな試合が増えたかららしい。 野球少年の私が愛してやまなかった昔の“西鉄ライオンズ”には、名将三原監督の下ベンチにコーチは2人しかいなかった。そしてあの伝説的な中西・大下・豊田・稲尾などの名選手を輩出した。ベンチが少し引いてこそ個性的で強い選手が育つ。日本でコーチのアドバイスを拒否したトルネード投法の野茂、振り子打法のイチローなどがメジャーリーグで大活躍しているが、日米間でコーチと選手の関係に大きな違い――指示がすべてか、対話が基本か――があることも、彼らの成功を支えていると言われている。今号のインタビューにご登場いただいた日本テレコムの倉重社長も指摘されている。「企業が創造性を追求する今、社員一人ひとりが自由であること。そして自分のスタイルを持ち、それを大事にしながら楽しく働ける環境が、まずは何よりも優先されなければならない」と…。 堺市代表として“NOMOベースボールクラブ”が苦闘の末にドーム初出場を果たした。創部2年での快挙だ。“野球人・野茂英雄”のアマチュア野球にかける愛情と熱情に応えて奮闘し、自分たちの野球への夢を実現した一人ひとりの選手たちの成果である。来年こそは、われらが「鈴木監督」率いる室蘭シャークスの勇姿を東京で是非見たいものだ。頑張れ! 室蘭シャークス!!

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