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Vol.21 春よ来い!(2011.04)
人は誰でも春が近づいてくると明るい気持ちになれる。まして、今年の冬のように例年になく厳しい寒さが続いた後には、身近な花や木々の変化にちょっとした春の気配を感じとるだけで明るい気分になる。2月25日には関東地方で「春一番」が吹いた。近ごろは、暮らしの中で季節感がどんどんなくなっていくようにも感じるが、やはり冬から春への季節の変わり目は、殊更に人々を明るい気持ちにしてくれる、四季を持つ“日本の自然”からの素晴らしい恵みだ。
そんな自然の恩恵を受けながら、私たち人間の営みは、明るい気持ちを感じとれる“春模様”と言える状況だろうか。政治向きのことは本稿でも随分と書いてきたが、書いても書いても悪くなっているようには思えても、良くなっていく兆しは皆目見当たらない。昨日も、不可解な政治献金問題で某外相が辞任したばかり…。「春まだ遠し」とわずかな期待感を抱く気にもなれず、もはやあきらめの境地というのが本音のところだ。
そこで気分転換にスポーツ界に眼を転じてみると、少し旧聞にはなるが、サッカー“ザック・ジャパン”が因縁の地ドーハでのアジア杯で、終始攻めのサッカーを展開し2大会ぶりに優勝を果たした。控え選手を含め一丸となったチームワークは、見る者の心を躍らせ、新春の日本を明るく爽やかな話題で盛り上げてくれた。かたやオープン戦たけなわの日本のプロ野球も、今シーズンは実力・人気を兼ね備えた新入団選手や、彼らに対抗心を燃やす同世代の若手実力組が、キャンプ段階から生き生きとしたプレーを披露して、球春の足音は日に日に高まり近年になく楽しみの多いシーズンインを迎えようとしている。それに引き換え、今や国技という色もあせた大相撲の体たらくは如何ともし難い。不祥事が起きるたびに正面から立て直しに向き合わず、力士育成や部屋経営などの対策を先送りにしてきたツケが、積年疑われていた八百長発覚で一気にやってきた。大阪春場所が中止に追い込まれ、今年の大相撲に春はない。大多数の真面目に稽古に励み出世を夢見る力士たちのためにも、今度こそ真の角界再生を願いたい。「冬来たりなば春遠からじ」。スポーツ界の春はまだら模様だ。
そして、入試の春に事件は起きた。大学の入学試験中に試験問題がネット掲示板に投稿され、当該受験生は時間をおかずに逮捕される展開となった。本人は「合格したかった。反省している」と述べたということだ。もちろんカンニング自体は断じて許されるものではないが、受験にまつわる携帯電話を使ったこの種の事件は近隣諸国などで既に散発しており、精神的に追い込まれがちな受験生心理を思いやるなら、こうした不正を誘発させ防止できなかった大学側の入試体制も猛省されるべきと思うがどうか。器用でもどこかつたない行為に対し、大学の過剰とも思える初動反応や、犯罪として立件した当局の措置、そしていつもながらのマスコミの騒擾的でワルノリ気味の報道姿勢など、事態の成り行きには少なからず違和感を持つ。『サクラサク!』春を目指した一人の若者の、犯した過ちの重大さに戸惑う心情を思うとともに、立ち直りを心から願いながら「花咲く春にあう」日の来ることを信じたい。
ところで四季のない北アフリカ・中東の地では、チュニジアに端を発した国家変革に向けた民衆の動きが勢いを増している。長い間独裁や弾圧を強いられて弱者であった一人ひとりの国民が、純粋に自由を求めてつながりあい大きなうねりを造り出している。彼の地ではインターネットや携帯電話などが、そのつながりを生み出す人々の力になっているらしい。自分たちが信じ込まされていた政治や生活の理不尽さに気づいた怒りが、権力からの解放を実現させようとしている。振り返れば1968年、“プラハの春”と呼ばれたソ連からのチェコスロバキアの民主化運動が思い起こされるが、今日多くの発展途上の国々で、国民の意識と心を目覚めさせる春の息吹が溢れている。
さて、私たちの身の回りに起こることが、「うれしいこと、楽しいこと」と「腹の立つこと、つらいこと」とのどちらが多い巡り合わせになるにせよ、間もなく桜花爛漫の日本の春はやってくる。『悲観は気分に、楽観は意志に属す』という至言があるが、春の訪れとともに、私たち一人ひとりが今生きている中で、「春よ来い!」と自ら働きかける意欲と行動力を持ち続けることの大切さに思いをいたしたい。「わが世の春」は、春風まかせでは決してやってこないのだから…。
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この度の東日本大震災により亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたしますとともに、被災された皆さまに心からのお見舞いを申し上げます。そして、被災地の一日も早い復興と被災された皆さまが安心・安全な暮らしを少しでも早く取り戻されますことをお祈り申し上げます。
本稿は3月8日朝に脱稿したものであり、自粛も考えましたがあえて原文のまま掲載させていただきます。筆者も、3月11日14時46分、釜石出張帰路のJR釜石線車中で地震に遭遇し被災地の中に2日間身を置きました。これからも被災地の皆さまのご苦労と勇気を共有する気持ちを持ち続け、公私にわたり復興支援に出来る限り力を尽くしてまいります。
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