社長コラム

Vol.1 『志』論―再考 (2005.06)  

大型連休初日の朝、寝起きの眼をこすりながら新聞を取りに行って郵便受けに入りきらない厚さにビックリ! その原因は広告チラシ、中でも、おびただしい枚数のマンション広告にあった。家族連れの集客を誘う魅力に溢れたキャッチコピーと写真満載の大判の広告が何枚も目に付く。新聞を広げるとそこにも、不動産各社協賛の“住まいの会員”募集の全面広告が数ページにわたり掲載されている。いわく、『ここから始まる、理想の住まい探し。あこがれのわが家と出会う第一歩』『夢の住まい、その実現に向けて。住まい選びのスタートラインへ』。わが社もその一画に『やすらぎ、奏でる。――Livio Series』とメッセージ。やはり少し心配になる。つくり過ぎ、投げ売りになってはいないだろうか…? 一昨年来いわれてきた「マンション2005年問題」、今年は大規模な超高層マンションが都心を中心に大量に完工する。一方、首都圏の分譲戸建て住宅もパワービルダーなどの低価格供給を主因に、昨年・今年と2桁台の伸びが確実らしい。その裏で、地価上昇の動きが進んでおり、購入主体、購入理由・用途などさまざまな需要が入り乱れて土地の高値買いが目立つ。現にわが社も昨年来競札物件では“想定の範囲外”の差をつけられ敗退のケースが残念ながら続いている。これは不動産が資産価値から利用価値で買われる変化の下で数年前から予見されていたこととはいえ、ここに来てのこうした現に“バブル再来”の危険を感じてしまうのは杞憂だろうか…?

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翻って、では私たちは、このような状況の中でわが社独自の競争優位性を何に見出していけばいいのか、ということに思いが巡る。私は先般の就任挨拶の中で「“魅力ある街づくりへの貢献”という高い志を共有して行動していきたい」と皆さんにお願いしました。本社の皆さんには『人を追い出して、また人を呼び戻す。いろいろな人が差別化で生き残ろうとして街づくりに励み、東京から“人間と文化”が消えた』という、ある先輩からの警句についても話しました。もちろん、一企業としては利益を確保し事業を継続していくことが勝ち残る条件です。しかし、私たちが携わる不動産業には、何よりも“住む”というテーマを通して人々の幸福を担う重い社会的使命があります。こうした公共的なミッションがあるからこそ、皆さんは高い倫理観とプロ意識を持って、ときには自己犠牲を払うことがあっても日々の仕事に自らの生き様をかけているのではないだろうか。そこに自分の仕事に対する誇りとやりがいを感じているのではないだろうか。私はこの半年あまり、皆さんが毎日頑張っている姿を見るにつけそんなふうに考えていました。 “住む人の満足と近隣からの納得が得られる住まいづくり”“地域社会から共感してもらえる遊休地開発”“既成の町並みを住みたくなる街へ生まれ変わらせる市街地再開発”など、不動産業にかかわる者すべてが考えている(はずの)本来の役割。その役割に対して、私たち一人ひとりが“新日鉄都市開発らしさは何か? 何ができるか?”を真剣に考え抜き追求する“高い志”を持ち続けたい。心の底から良い仕事をしていると自負できる取り組みを愚直にやり続けたい。「小さくてもキラリと光る」存在感のある会社を皆さんの知恵と行動を結集して目指したいと考えています。決して生易しい道でないことは覚悟の上で…。

社長・社員コラム

Soft Eyes 〜社長随想〜

Passage 〜社員が語る、ちょっといい話〜