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Vol.18 “世相”を考える?! (2010.06)
冬日と夏日が繰り返された不気味で不思議な春4月が過ぎて、やっと目にも鮮やかな若葉薫る5月、さわやかな初夏の陽気が続いている。一向にスッキリしないのが政界の動きで、当面するいずれの政治課題をとっても混迷の度が増すことはあっても好転の兆しは残念ながら見えてこない。多くの国民も、政権交代にかけた期待を裏切られつつある上に、ここまで政権の迷走ぶりを見せられては戸惑うばかりではないか。それでもひょっとしたら転機となるかも(?)と一縷の望みを抱いていた7月予定の参院選も、空前のタレント候補を押し付けられる様相で、国民と政治家の意識というか常識感覚のズレをこれほどまでに感じさせられるとただ唖然とするばかりだ。いずれにしても、主権者の一人として気を取り直して政治を考えるのは7月の選挙結果を見てからにしよう…、ということで閑話休題(それはさておき)。
今年もプロ野球セ・パ交流戦が始まった。6年目を迎え、球界人気挽回の取り組みは多くのファンに受け入れられている。私見ではあるが、この交流戦に対する本気度はパ・リーグ6球団の方がはるかに熱い。過去5年の交流戦優勝チームがすべてパ・リーグの3球団で独占されていることは偶然だけではないと思える。かつて「人気のセ、実力のパ」といわれ、“ジャイアンツ人気”頼みのセ・リーグを仰ぎ見ていたパ・リーグは、交流戦導入と相前後して地域球団化に力を注ぎ、チーム名に本拠地地域・都市名を冠することなどで、「チーム=地域の共有物」という意識付けに成功したといわれている。今や「実力も人気もパ」という評価に賛同するファンは少なくないのはないか。世の中の流れは、努力する側に確実に変わりつつある。
さて、先日不動産協会の催しで、工事中の「東京スカイツリー」を現地間近で見学する機会に恵まれた。直近で高さ400メートル近くに達した威容は、都内の至る所から眺められるようになり、竣工前から都心の観光名所になっている。戦後の東京の成長は、東京駅や皇居から西へ西へと展開していくことで具現化され、その象徴が日本の高度成長の入り口時期だった昭和33年12月に完成した高さ333メートルの「東京タワー」だった。もう50年以上も前のことだ。今その東京タワーを追い越し、世界一の高さ(完成時634メートル)の自立式電波塔として来年12月末の竣工を目指すスカイツリーが、味わい深い江戸情緒を守り抜いてきた都心東側の下町エリアに未来都市の味付けを加えることで、人々の目と心を魅了してやまない街として再生する気配だ。国際都市・東京の街づくりに、これまでとは違った新たなストーリーが生まれるかもしれない。
ところでその東京タワーだが、建設当時は小生がまだ小学生のころで、東京はもちろん日本中の子どもたちの心を躍らせる、戦後10年あまりのわが国にとって稀代のプロジェクトであった。それはヒット映画『ALWAYS 三丁目の夕日』に描かれていた通りである。少し話はそれるが、これも4月某日、社外サークルで著名な時代考証家を囲む場でのことだが、講師はアメリカ映画『硫黄島からの手紙』やNHKドラマ『坂の上の雲』などの撮影に携わってこられた方である(これはオマケの挿話:作品の舞台となる、前者の「硫黄島」は米・テキサス州に、後者の「旅順港」は地中海・マルタ島に屋外セットを建設しロケされたそうだ。時代の再現も大変なことだ!)。講師から冒頭聴衆への質問が、「皆さんにとって時代劇の“時代”とはいつですか?」というもの、聴衆のほとんどが小生前後の年代ゆえ、当然に江戸時代以前という声が大勢だった。ところが、同氏が某日ある集まりで20代・30代の若者たちに同じ質問をした際に、映画『三丁目の夕日』は時代劇であるという答えが少なくなかったという話を紹介されて、一同驚くやらショックやら…。小生も思わず、これからのマンション購入予備軍である人たちの世相観を垣間見た思いで、自分が歩んできた人生観の延長線上で事業に取り組みがちな自らの思考・判断に大いに警鐘と刺激を受けた次第である。
その東京で、また日本各地で、私たちは「進む道」の夢・志をかけた街づくりに歩み始めている。「クリエイティブ力」の向上に向けた若手中堅層を中心としたCSRワーキングもスタートしている。そうした取り組みにかかわるとき、世の中の絶え間ない変化への感性を研ぎ澄ませ、対峙して、世相の変化に微かに見てとれるニーズ・ウォンツに鋭敏に反応できる集団・個人でありたいと意欲し、皆で愚直に真摯に学び研さんに励んでいきたいと願っている。
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