社長コラム

Vol.17 オリンピックが終わって… (2010.03)

 

2010年という一つの区切りの年が明けて2カ月が過ぎた。サッカーW杯の南アフリカ大会開幕までちょうど100日となった3月某日に本稿に向かっている。足下どん底状態の“岡田ジャパン”がどこまで立て直して格上ばかりの予選グループの試合に臨むのか。『4強進出』の強気な目標を崩さない岡田監督への風当たりはすごいが、チーム全員が、揶揄するような世評に耐え、今あらためて「必ず勝ち上がるんだ」という強い信念を共有して戦うならば、夢みたいな高い壁を越えてくれるのでは…と願いながら応援していきたい。

私は新年の仕事始めの日、皆さんへの挨拶の中で次のような話をしたと記憶している。「新しいこの10年を見通すとき、世界最速で少子高齢化が進む日本で私たちがどう今の閉塞感を脱し、本当の意味で安心と豊かさを感じられる成熟社会へ進んでいけるのか。必然的な高齢化、蓋然性の高い少子化、いずれもずっと以前から指摘されていた国家レベルの問題だが、直面してなお本質的な対策が十分にはとられていない。こうした国民的課題を克服しない限りこの国の将来は厳しい」と…。一方で「今年は、2月に冬季五輪、6月にサッカーW杯とスポーツ界では4年に1度のイベントが開かれる。何となくモチベーションが上がりにくい時代だからこそ、こうしたスポーツの名勝負に感動し、勇気や喜びをたくさん感じ取りたいものだ」。

そしてバンクーバー五輪は閉幕した。私(わたくし)的には、上村愛子に始まって浅田真央で終わっ  た大会だった。「なんでこんな、1段1段なんだろう」と涙した上村、「うれしさが50%、悔しさが50%のメダル」と唇をかんだ浅田。頂点を目指した人間にしか語れない言葉から、あの一瞬に賭けて何年間も頑張ってきた彼女たちの必死な姿が垣間見れる。それは、今回の選手団主将を務めながら出場機会のなかった岡部孝信、マイナーなスケルトンという競技に挑み続けた選手団最年長の越和宏たちの言葉からも、オリンピックに賭けた長くひたむきな努力がうかがえる。4年周期の開催という巡り合わせの中で、世界中のトップアスリートが焦がれたメダルに挑戦する。そこへ至る熾烈な過程に思いをはせるからこそ、夢を手にした笑顔にも、届かなかった涙にも、オリンピックは私たちに奥行きの深い感動を生み、前に進む夢や勇気を与えてくれる。だからメダル5個、入賞26競技という結果は忘れ去られることはあっても、あの選手たちの笑顔、涙は余韻となって長く心に残る。そんな日本選手団に対して、某知事は結果は不振と断じ、「思ったより高く跳べない、速く走れないのは、重いものを背負っていないから。国家というものを背負っていないから、結局高く跳べない、速く走れない」と語ったという。これでは一部マスコミ報道と同列であって、過度に国家の威信を賭けた闘いのようにあおる発言は、選手間の競争が原則である五輪精神からは見当外れではないだろうか。

ところで、国を背負う気概、国家間の競争力を問いただすとするなら、やはり混迷している政治の世界へ物申したい。財源に懸念を感じさせる平成22年度予算案の年度内成立が見えてはきたが、内閣支持率の下落が止まらない。昨夏、民意を受けた初の本格的「政権交代」を成し遂げ、発足時70%台を誇った支持率が直近は支持率40%前後、不支持50%弱と惨たんたる有様。これも「政治と金」という古典的問題を前政権当時と同じに抱え込んでしまった結果、売り物のマニフェストの実現云々を問われる以前の段階で国民の期待を大きく裏切ってしまったからではないか。国民の政治への不満はこのほかにも、米軍基地移設を巡る迷走や地方での景気停滞など後を絶たない。夏の衆院選対策には躍起なようだが、真に国家や社会全体のニーズを見据えた新政権の戦略・対応が見えてこないのが悲しい。

そして経済の世界でも、年明け以降日本を代表してきた名門企業で激動が続く。トヨタの大規模リコール問題、キリン・サントリーの統合破談、日航の破綻、海外原発受注の連続敗退など、国内企業の活力回復にかげりを感じさせる事象が立て続いており、先行きは楽観できない。

振り返ってわが身に思いをいたせば、皆さんと歩み出して早6年を迎えた。つらい悩ましい日々もあったが、楽しいうれしい出来事しか思い出せない。直面する事業環境は確かに厳しいけれど、『私たちの進む道』で約束した当社の成長への夢、志に向け、決意を新たに新年度をスタートしたい。「ミッション・ステートメント」を心に刻み、頼りにしてるよ、皆さん!

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Soft Eyes 〜社長随想〜