社長コラム

Vol.13 夏の終わりに!(2008.09)

 

当社が統合・再スタートして7年目の夏。この4月には、新日鉄から出向の皆さんを改めて転籍で迎え入れ、全社員文字通り一体となって、心新たに『第二の創業』への取り組みを“ものづくりの心を、街づくりへ。”の本年度のステートメントの下で、それぞれに始めてくれている皆さんの姿を力強く嬉しく感じている。私たち役員・部長クラスも皆さんに負けてはならじと、8月初めの2日間全員が集まって、S.R.コヴィー氏が主唱する『7つの習慣』研修を受講した。キーワードの1つは、“インサイド・アウト”、ゴルフスウィングのお話ではない。人が生き甲斐と成長を自覚しながら生きていく上で軸に捉えたい原則、というか心構えなのでしょう。「自らがまず変わっていくことからすべてが始まること。信頼されたければ、信頼される人にまず自らがなること」などを説いている。小生としては、今からでも遅くはない、人生もゴルフも“インサイド・アウト”で生きていこう、と志を新たにさせてもらった。

 それにしてもさまざまな出来事があり、いろいろと考えさせられることの多かった一夏だった。夏休み最中の新興デベロッパー・U社の民事再生法適用申請の報道。やっぱりというべきか、遂にということか、相次ぐ新興デベ・中小ゼネコンの倒産劇の1つのエポックとなる現実。資産調達難、販売不振など厳しさを増す事業環境を言い訳にしないで、自助努力で活路を拓く覚悟が改めて問われていると受け止めたい。

そして休暇中の持て余しがちな時間を埋めてくれたのが、北京オリンピックの連日のTV放送。ややもすればメダル獲得にとらわれ、余計なタレント起用で娯楽化した放映スタイルに辟易しながらも、いくつかの競技での選手諸君の見応えある活躍には心から拍手を送った。一方、先々号の本稿で取り上げ期待していた男女マラソン代表―ウサギくんとカメさんたちは、スタートラインに立つことも叶わなかった二人、レース途中棄権の屈辱に泣いた一人、そして完走選手中最下位に甘んじた一人と、選考時点では予想だにしない惨敗となった。原因はさまざま語られているが、結果を先に追いすぎて選手個々の本当のコンディションづくりができていたのかは、ファンの一人として関係者に猛省を促したいところだ。また、「結果がすべて」のチームづくりで私たちの期待を大きく裏切ったのが、“○○ジャパン”と監督名が売りだった競技のいくつかである。その対極にあるのが、今回が五輪最後の参加となるといわれ選手・関係者が一丸で臨んだ女子ソフトボールチームの金メダルであり、強豪国の相次ぐミスで得た千載一遇のチャンスを80年の競技界の悲願に応え銅メダルをものにした男子陸上400mリレーの4選手であろう。そこにあるわずかな違いは、自立した選手一人ひとりのなんとしてもという地味な努力の積み重ねと、彼らを的確にサポートしてきた人たちの熱意と励ましではないだろうか。商業主義と人気に迎合した五輪対策では超えられない、4年間を通した多くの人たちの自覚と信念の結実が私たちの心を打った。

それにしてもこの夏のオオトリを飾った出来事が、1年前と同じ「総理辞任」とは、いかなる説明、理屈付けはあるとしても、私たち国民には到底容認できない情けない事態である。辞任記者会見の言葉一つ一つに、国民目線を標榜してきた政治家としての矜持を感じとることはできなかった。国政の主権者である国民が、3年前の小泉・郵政総選挙の結果によって立つ自民党政権の流れの中で、一国の総理大臣の選任を3度にわたって傍観するしかない羽目になった。同盟国アメリカは、史上初の黒人大統領か女性副大統領を選ぶ歴史的な時間を、国中の人々が共有していることを見るとき、彼我の差に言葉を失う。

そんな派手なニュースの片隅で、目立たないが興味深く読んだ記事があった。文部科学省が今年4月に実施した全国学力テストの公表結果である。詳細は触れないが、例えば中3・数学の正答率の都道府県別順位を見ると、好成績組が福井・秋田・富山・香川など、低迷組が沖縄・高知・岩手のほか大阪・首都圏も今一歩組とのことだ。某府知事が、この結果に関して「クソ教育委員会云々!」と暴言を吐いたという話があるが、小生の感想もやや意外というのが率直なところだ。分析によれば、都市部の私立進学熱も挙げられていたが、何より上位県における生徒の意見発表やお互いの話し合いを積極的に取り入れた授業の工夫や、学力向上に向けた家庭と学校の協力が指摘されていた。

冒頭の“インサイド・アウト”ではないが、個人各々の自立・自助と、そんな一人ひとりの連携と共生が、家庭の中で、社会の中で、そして私たちの職場の中で意欲されたら、と思いながら私の61回目の夏は過ぎていこうとしている。

 

 

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