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Vol.12 異国で想う!(2008.07)
6月2日午後2時過ぎに世界不動産連盟のオランダ・アムステルダム総会参加の旅程を終え、成田空港着、夕刻の都心での某パーティーに出席すべく迎えの車に乗った。運転手さんから「後部座席もシートベルトをして下さい」と一言、日本を留守にしてる間に新たに適用された道交法ルールである。長時間のフライトで多少疲れた身体には少し鬱陶しかったが、法律ですから守らねば…。高速走行時の事故被害の抑制が狙いと推察するが、都内への高速道路は前日からのガソリン価格再値上げを反映してか、渋滞の気配もなく快適でユックリと開会に間に合った。10日間の不在の間にも国内の様子が、何か変わっていることを実感させられた一時だった。
帰国して数日、逆に変わってないなぁと感じたことといえば、今回訪れて実感したロシア、オランダなどの国や街としての活気とか市民の明るさと比べたときの、日本という国や国民の昨今の閉塞状況とか緊張感の乏しさといったものではないだろうか。外国被れしがちな小生の性癖を差し引いても、もっともっと日本の足元や将来について危機感とか展望とかを国全体で共有できないものかと思う。ロシアは、今や世界一の資源国(因みに現地のガソリンは1リットル23ルーブル、約100円でした)として内政面の不可思議さはなお残すものの、欧州ナンバーワンの大国に力強く変貌を遂げつつあるように見えた(22年前出張で来た時のソビエト体制下のモスクワ市街の不気味さ・陰鬱さは一掃されていた)。オランダは、九州と同規模で国土の4分の1が干拓地からなる小さな農業国。それでも地平線まで見えるといわれる平坦で広大な農地(故にオランダ人は“山の彼方”を空想しないので現実的で夢がない人種だとか…)一面がジャガイモ畑、もちろん有名なチューリップの球根は世界中の70%を栽培し、その4分の3以上を輸出している。小国だけれど首都アムステルダムは177カ国からの移民を受け入れ(これは世界一だそうだ。ただし移民の子の犯罪の多さは悩みとなっている)、鎖国時代の日本の先達としての面目を維持している。
そんな資源大国と堅実な農業国に短時日とはいえ滞在し、印象深かった国家としての成長力や底力に思いを致すとき、さてわが日本は本当に大丈夫なのだろうかとつい考え込んでしまう。宇宙の彼方では、日本人宇宙飛行士としては6人目となる星出彰彦さんが、わが国の宇宙開発にとって悲願であった自前の宇宙実験施設『きぼう』の本格運用に向けた作業を無事完了させたが、地上の日本は私たちが「希望」に満ちた将来を描ける状況にあると言えるのだろうか?もちろん私たち一人ひとりの国民の心構えや行動に負う責任の重さは自覚するものの――事実『モノづくり立国・日本』をこれまで支えてきたのは、団塊の世代を中心とした多くの人々の、個人としての真面目さと忍耐心、組織人としての勤勉と忠誠心だと自負するが、そのモノづくりの根幹を揺るがす近時の海外資源の急騰や、あるいは国内自給率が決定的に低い現実に照らせば看過できない食料の高騰・囲い込みの事態に直面しつつある中で、わが国の政治・行政は活路を開く先を見た国家戦略を描けているのだろうか?ひるがえって郵政民営化も然り、今今の道路特定財源改革や後期高齢者医療制度の問題も然り、個々の国内的課題の大切さも理解はするが、それらのみが国策の柱であるが如く取り上げる一方で、グローバルな資源・食料危機、そして地球温暖化対策などの大局に対する現在の政府・国会などのリーダーシップや使命感の不足状態には、楽観主義者の小生でもさすがに焦りと怒りを感じてしまう。
今回の世不連総会の基調講演では、「地球規模で国際分業と専門力を活用し、世界の成長と貧困の解決に民間が大きな役割を果たそう」との提言がアルゼンチンの識者からなされた。オランダ人の大会事務局長からは、「金儲けを考えるだけでなく、地域に成果還元できる不動産開発を世界において進めよう」という、当社の『エリア価値創造』のお株を奪うような話もあった。世界中の各界各層がグローバルな視点での課題対応が必要との時代認識にある今日、資源も食料も十分に持たないわが国においてこそ、21世紀を真に生き抜いていくための国家の舵取りが今や喫緊の重大事であると思うが愚考であろうか?
同行の業界諸氏の皆さんとウォッカやワインのグラスを傾けつつ、訪れた街・国での発見と感想などを語り合いながら行き着く議論は、異国で考える母国のこれからについてでした。北欧の白夜の空は、そんな私たちを夜が更けるまで夕暮れ時の美しさ、優しさで包んでいました。
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