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Vol.11 ウサギも、カメも!(2008.04)
84回の伝統を誇る新春の箱根駅伝、その沿道整理のボランティアに日本橋の地元企業としてかかわりだしたり、石原都知事の強引とも言える肝いりで昨年より始まった東京マラソンが、当社ビル前の永代通りを往・復路2回も通過することから知らん顔もできず、今年は清藤君・藤木君・藤井君と3名の社員も難関の抽選を突破、精鋭(?)選手として参加し期待以上の成績で走ってくれたりしたこともあって、元々好きだったマラソンへの思いを近ごろまた強くしている。決してレベルは高くなかったが、中高6年間を駅伝競走の学校代表として走ってきた経歴のある小生としては、あの過酷なマラソンという競技に、自分の青春を賭ける人たちの情熱や志の一端は理解できる気がしている。
この原稿を書いたのは、実は3月10日の夜。締切当日の夜になってしまったのは、この夏の北京オリンピックの男女マラソン代表6名の発表を待っていたからである。近年のオリンピックや世界陸上のマラソン代表の決定は、日本陸連の選考方法等が必ずしも分かりやすいものでなく、いつも物議を醸すので気になっていた。今回は、決定前日に開催された名古屋国際女子マラソンで、人気者・高橋尚子選手の「あきらめなければ夢はかなう」という自分自身のメッセージにアテネ落選のリベンジを賭けていた走りに、多くのファンが注目していた。現実は、レース序盤9キロ手前、テレビCMのわずか1分あまりの間にみるみるトップグループから置いていかれる痛々しい姿から立ち直ることなく惨敗、思わぬ結果となった。それまで国内外11レースでシドニー五輪金メダルを含む8回優勝の軽快な走法と爽やかな“Qちゃん”スマイルを、北京で見る機会はついになくなってしまった。
さて代表6名の名前は既にご存知であろう。女子は、野口みずき。東京・大阪・名古屋と国内3大レース制覇の快挙を持ち、アテネ・北京と連覇を狙う日本のエース。土佐礼子。アテネ等出場全10回のマラソンで常に5位以内、タイムも7回が2時間26分台を切る抜群の安定感と粘りが持ち味の実力派。そして最後の枠を射止めたのは、初マラソンで名古屋の街を力強く清清しく走り抜けた新鋭・中村友梨香である。3人に共通しているのは社会人になって良き指導者・練習環境に出会い、学生時代を含め無名の期間の苦労を克服して一流選手の仲間入りを果たした点であろうか(いわばカメのタイプ)。
一方、男子は、佐藤敦之・尾方剛・大崎悟史の五輪初出場の3名。いずれもが、あの箱根駅伝を伝統校のエース・中堅として走った(ここまではウサギ)が、社会人となってそのまま順調な競技生活を続けたわけではなく、スランプや壁にぶつかりもがいてきた(カメのような)努力・苦労人タイプがそろった。往年の日本の男子マラソンは、円谷・君原・宗兄弟など走り込みで鍛え上げた(カメ型の)名選手を輩出してきたが、今回の3人は、そんな先輩や女子代表に伍して活躍できるだろうか。一説に、男子マラソンを弱くしてきたのは箱根駅伝の存在だ、という意見がある。中高の一流長距離選手(エリートのウサギたち)はこぞって、今や国民的行事となった箱根を目指し、厳しいチーム内の競争に勝ち抜き母校の栄誉を担う代表選手となって、万余の沿道観衆の声援を受けコースを駆け抜ける。ここで体感する達成感・チームワークの醍醐味を超えて、実業団ランナーとして一流のマラソン選手たるべく、自らを(カメの覚悟で)奮い立たせる孤独なモチベーションを維持し続けることの困難さを、識者は指摘している。一理あると小生も思う。
いずれにしても、8月、北京の猛暑・大気汚染などマラソンには酷なコース条件が予想される中で、女子の五輪3連覇、男子初の金メダル獲得を期待したい。
人生はよくマラソンになぞらえられる。山あり、谷あり。ウサギが常に速いわけではなく、カメの歩みにもチャンスはある。万全の準備をしたから必ずうまくいくわけではなく、運に見放され涙することもある。だからといって準備を疎かにすると、手痛い失敗に遭うのは必定。故に、人生は決して自分一人で生きていけるものではないという謙虚さを自覚して、日々を生きることを大切にしたい。そんな心構えを、私たちが仕事に取り組む中で忘れないでいたい、という小生の思いにピッタリ答えてくれたのが、今回皆さんの声を聞きながら決めたコーポレート・ステートメント――“ものづくりの心を、街づくりへ。”である。
当社が挑む新たなマラソンレース『第ニの創業』への行動を、このステートメントの下で、自らをウサギと思う人もカメと思う人も、皆の心を一つにして始めたい!
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